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実は誤解だらけの「アルコール消毒・除菌」…プロが教える“正しい使い方”(5/31 日刊SPA!掲載)

 長引くコロナ禍の中でアルコール製剤は身を守るために、よりなくてはならない存在となった。手指や身の回りのモノを消毒、除菌することでウイルスを減らし、リスクを下げるという習慣は欠かすことができない。

 しかし、アルコール製剤を使った消毒や除菌の意識が高まった一方で、「正しく使われていないケースもある」と警鐘を鳴らすのは業務用洗剤やアルコール製剤などを取り扱うセッツ株式会社。

 同社の研究グループリーダーとして衛生管理の技術開発に携わり、除菌・ウイルス除去の技術開発を担当する國武広一郎氏に「アルコール製剤にまつわる注意点」について聞いた。

意外に知られていない「アルコール製剤の適正量」

セッツ株式会社の國武広一郎氏

 國武氏が最初に指摘したのは、普段何気なく利用している飲食店やスーパーなどの出入り口に設置されたアルコール製剤の適正量だ。

「ウイルスを除去するには少なくとも1mL以上。できれば3mL程度を手に取るようにしてください。手にすり込むときに、アルコールの作用時間が長ければ長いほど、効果があるという研究結果も出ています。ポンプのストロークを根本までグッと押し込むと、3mLほど出てくるはずです」

アルコール製剤の使い過ぎは問題ない?

 アルコール製剤の適正量は、ハンドスプレーを利用したときも同じ。飲食店で店員がハンドスプレーをかけてくれたとき、少ないと感じた場合は追加をお願いしたほうがいいとのこと。

「アルコール製剤の使いすぎ、かけすぎによる手荒れを懸念される方もいらっしゃいますが、業務中、絶えず手指を清潔に保つ必要がある医療従事者の方などは繰り返しアルコール製剤を利用しています。気になる場合はハンドクリームなどを利用することで対処していただければと思います」

アルコールは濃ければいいわけでない

アルコール製剤の使用イメージ

 また、アルコール濃度についても誤解が少なくないという。

「濃度が高いほど除菌効果が高まると思うかもしれませんが、高濃度のアルコールはすぐに揮発してしまうため、実は除菌に不向きです。除菌効果がもっとも高いのは、水とアルコールの分子が1対1の割合になる、70~80%(重量パーセント)の濃度だといわれています」

消毒、除菌だけでなく、手洗いも重要

 除菌効果を高めるためには、事前の正しい手洗いが重要となる。

「手洗いなどで汚れが多い状態のまま、アルコールを使用するとウイルスを消毒、除菌する効果が低下してしまいます。これは身の回りのモノを除菌するときも同じです。だからこそ、手洗いはとても重要。しっかり手洗いや洗浄をしてからアルコール製剤で除菌するようにしてください」

アルコール製剤で清拭する際、注意が必要なモノ

アルコール製剤の設置イメージ

 身の回りのモノをアルコール製剤で除菌する際も注意すべきポイントがあるとのこと。

「アルコールはワックスを溶かして白くしてしまうので、床などをアルコールで清拭するときは注意してください。また、ご家庭で使われている方はあまりいないと思いますが、アクリルパーテーションとアルコールの相性もよくありません。長期間、アルコール製剤で除菌すると、白化して割れてしまうことがあります」

 自宅で利用する際には目立たない箇所に使用して、大丈夫かどうかを確認してから清拭すると安心。

「一方通行で拭き残しがない」が理想的

「あとは、拭き方にも気を使うべきですね。適当に拭くと汚れを戻してしまう可能性があり、除菌したつもりがかえって菌・ウイルスを広げてしまうことも。基本的には、一方通行で拭き残しがないようにするのが理想です。また、除菌シートではなく、布巾にアルコール製剤を染み込ませて除菌するときは、清潔な布巾を使うようにしてください。汚れた布巾を使うと除菌できず、布巾についた菌・ウイルスを部屋中に広めてしまう可能性があります」

 新型コロナウイルスだけでなく、食中毒菌など日常に潜むリスクは少なくない。アルコール製剤の正しい使い方を知ることで、我が身はもちろん、家族や友人の健康も守っていく必要がある。

※当記事は日刊SPA!『実は誤解だらけの「アルコール消毒・除菌」…プロが教える“正しい使い方”』からの引用となります。
https://nikkan-spa.jp/1832525